根岸俊雄の住まいづくり入門 -176ページ目

故郷:生家

太郎よ、君は私の生家を見たことはありませんね。
それは君が生まれる前に壊されてしまったからです。


根岸の家は祖父の代まで専業農家でした。
父は教員になり、母が祖父と農業を続けました。
学校が農繁休業のときは、私たち子供もみんな手伝いました。


私が生まれ育った家は大きな総二階の家でした。
二階は養蚕部屋でトタン葺きの屋根には二つの換気窓がありました。
どのくらい古い家だったか、定かではありません。
祖父が婿養子にきた時すでにこの家は建っていたはずです。

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通り抜け土間がありました。
近所の子供たちが鬼ごっこで駆け抜けて行きました。
そこで餅をついたこともあったような記憶があります。


囲炉裏が土間の脇の板の間にありました。
中に足を踏み入れることができる大きさだった気がします。
鍋の中の「おっ切り込み(ほうとう)」、灰の中の焼きリンゴ・・・。


縁側もありました。
目の前の庭、その先の蓑山(みのやま)、空の上の満月・・・・。
ススキ、まんじゅう、ふかし芋を供え、祖父とお月見をしました。


縁の下が家全体に広がっていて、子供は中に入り遊びました。
乾いた土、そこにはあり地獄などがありました。


生家のことは大切な思い出です。
そこでの生活と家の様子は、私の記憶から一生消えることはありません。
私が住まいを設計するときの原点です。

人付き合いを楽しむ-3

■宅地内セミパブリックスペースの提案
○宅地内での人付き合い計画
T住宅計画の二枚の図面は、表の通りから人を宅地内にどのようにしたら引き込めるのか?、またそれには住戸平面でどのように工夫したらよいのか?、ということを示しています。

住まいにおける宅地内でのヒューマンコンタクトづくりを、様々な段階的計画として述べてみたいと思います。

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○前庭づくり
表の通りから宅地内に入った所には門をつくらないで、オープンな前庭を設けたらいかがでしょうか。

緩衝的つなぎの空間としてのセミパブリックスペースを設けるのです。

その場所にはテーブルやイスなどを置き、お茶やおしゃべりがゆっくりできるものとします。
○前庭から直接出入り出来る部屋づくり
住宅の内部のプランにあっては、前庭から直接出入り出来る部屋をつくったらどうでしょうか。

それは、お年寄りの部屋、趣味の部屋、またはホームオフィスでもよいでしょう。部屋の内部には、土足で入れる土間を設け、人々が気軽に入って来れるようにしましょう。

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○前庭から奥庭へ
前庭の囲いから、木戸を通り、居間の前の奥庭に出入り出来るのもよいでしょう。

人付き合いも親密になりますと、この領域まで直接入って来てもOKなのです。

人形町・浜町の活性化計画

第07回 [H17('05)/06/15]「環境計画論」:(講師)根岸俊雄
:街を多発的に活性化させる「人形町・浜町の活性化計画」
■街を活性化して存続させる計画を学ぶ
★配付資料
・人形町・浜町地区の現況地図(A3で1枚)
・「人形町・浜町の活性化計画」(A3で1枚)
・授業レジメ(本紙1枚)

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★伝統的地区(人形町・浜町地区)活性化の計画手法を学ぶ
○活性化拠点
・交通、文化史跡、施設、エリア
〇アプローチの明確化
・地上の玄関(車交通)、地下の玄関(地下鉄)、海の玄関(水上バス)

  空の玄関(東京シティーエアーターミナル)
〇通りのグレードアップ
・人形町大通り、甘酒大通り
・各種小路:大江戸通り、小江戸通り、江戸遊食通り、思い出通り
 呉服通り、芸人通り
○文化史跡散策ルート
・七福神めぐり、谷崎潤一朗生誕の地、蛎殻銀座跡、・・・
〇核的施設の整備
・酒と米の博物館、人形町・浜町風俗資料館、タウンメディア館

  小劇場、芸能資料館、下町おもしろ工芸館、世界湯(銭湯)

  大学または専門学校
○エリアの特徴づけ
・文化の街、遊の街1、遊の街2、伝統の街、情報の街、芸の街

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環境コントロール技術の見学

第09回(H17/06/13)「環境デザイン・ゼミ」:環境コントロール技術の見学
■見学の概要
○見学場所
・清水建設「技術研究所新本館」
・地下鉄東西線の門前仲町駅から徒歩20分、守衛所前で待合せ
〇見学内容 
・ハードな環境コントロールの最先端技術を見学する

・「技研」の建物自体がその実験場となっている

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http://www.shimz.co.jp/corporate_information/sit/
■竹林副所長さんから送って頂いたスケデュール
〇6月13日(月)15:30~17:30
15:30~15:45 技研概要説明(ビデオ)
15:45~16:30 新本館ツアー(最新建築技術見学)
16:30~16:45 サイバー実験棟(情報技術デモ)
16:35~17:00 建設技術歴史展示室(レンガ造,鉄骨造の歴史)
17:00~17:30 環境関連技術のレクチャーおよび質疑
■感想、「本」、御礼
〇感想

・見学後に学生はA4用紙1枚の見学レポートを提出することになっている
・見学アンケートに代えて、レポートコピー一式を提供させて頂きます
〇「本」

・清水建設200周年記念「本」と新建築特別号「清水建設」を各2冊頂く
・有難うございました(さっそくその場で学生回覧のために配布)
〇御礼
・説明してくださった高木さん他4名の方へ、感謝!!
・そして、竹林(技研副所長)さんに、感謝!!
・さらに、宮崎(設備・BLC本部長)さんに、感謝!!

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故郷:往還

太郎よ、君は「往還」という言葉が分かりますか?
「おうかん」と読み、町と町をむすびつける道路のことです。


町の真ん中に国道が走っていました。
鉄道と並行で互いに見え隠れしていました。
その通りを私達は「往還(おうかん)」と呼んでいたのです。


道路はまだ舗装されていない砂利道でした。
窪みに雨水が溜まり、油が虹色に浮いていました。
車が来ると見るのを止め、あわてて脇に避けました。


時々道路の表面を平らに削る車がやって来ました。
大きなシャベルとものすごい音が私たちを驚かします。
遠くまで付いて行って、親にしかられたことがあります。


いろんなことが起こる場所でした。
学校の帰りは、おしゃべりの場、追いかけっこの場でした。
夏祭りでは山車や神輿と一緒に歩き回りました。
旧盆には秩父音頭の踊りが繰り出します。

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いろんな人たちが登場する場所でした。
玄関でずっと通りを眺めているお婆さん・・・。
癲癇(てんかん)の発作の旦那さんを追いかける奥さん・・・。
女装して自転車で行き来するおじさん・・・。


道路に沿って町並みが続いていました。
竹かご屋さん、鍛冶屋さん、建具屋さん、下駄屋さん、・・・。
私の生まれた家はその真ん中あたりにありました。
小さな別れ道を少し入ったところでした。


私は秩父往還で町の本当の姿を知ることができました。
「通り」への興味は今でも尽きることはありません。
「魅惑的な通りづくり・建物づくり」は私の研究テーマの一つです。

人付き合いを楽しむ-2

■夫の趣味と妻の仕事による人付き合い
○人付き合いの家
Sさんの家は、まさに人付き合いの家の見本と言えます。

家づくりの目的がご夫婦の人付き合い空間づくりそのものだったのです。

理想のシルバーライフ空間が出来上がりました。

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○近所付き合いの食事会
Sさんの今までの家は狭かったので、隣近所の持ち回り食事会を自宅で開くことは出来ませんでした。

今度は大丈夫です。

居間と食堂と和室をつなげますと大空間が出現しますので、近所で最大の宴会が可能となりました。

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○理容室の待合
Sさんの住まいには、奥さんの理容室が併設されています。

この理容室も人付き合い空間です。お客さんは自分でお茶を入れて飲んだり出来ます。

また、待合スペースは、ミニ画廊やミニ子供図書館でもあります。

お客さんは、自分の散髪時間の倍以上の時間をここで過ごします。
○庭の畑仕事
ご主人の趣味の畑仕事は、人を引き寄せます。

庭での畑仕事は通りからよく見えますので、自然と人が近づいて来るのです、通り側には門や塀などありませんから、通りがかりの人が庭まで入って来て居間に腰掛け、畑作業中のご主人と長話していくのです。

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○広がる人付き合い
ご主人は理容室のお客さんとも付き合います。

ご主人は畑仕事の途中でも土足で玄関を通り抜け、理容室の待合の人のところへ行けます。

ご主人は自分で作った花や野菜を理容室の待合で配ったりします。

ご主人の趣味の畑仕事が奥さんの店づくりに役立ち、またご主人は理容のお客さんとの付き合いで友達が増えるという、まことに楽しい人間関係成立の住まいとなっているのです。

ゼミ:なんでも討論の日

第08回(H17/06/08)「環境デザイン・ゼミ」:なんでも討論の日

■なんでも討論

〇討論の準備
・「なんでも討論」のための「なんでも意見」を全員提出すること
  ゼミ前日までに根岸宛メールで
・ゼミ当日は「なんでも意見」をリスト化して配布(A4で4枚)

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○「なんでも討論」項目
・ゼミの進め方、・見学と座学、・読みたい本、・見学したいところ、・日曜遠出見学、・勉強してみたいジャンル、・興味ある対象(住まい、町家や古民家、街づくり、地域づくり、福祉施設、その他)、・グループ分け行動、・地域をグループで調査・分析・評価・提言、・夏休合宿、・インターンシップ(就業体験)、・就職、・懇親会、・その他

環境計画:コンバージョン

第06回 [H17('05)/06/08]「環境計画論」:(講師)根岸俊雄
 :用途変更による建物リサイクル「東京コンバージョンリサーチ」

   
■「用途変更による建物リサイクル」の計画を学ぶ
○配付資料
・「東京コンバージョンリサーチ」(根岸主宰)
・「コンバージョンはどこまで流行るか?」(根岸インタビュー記事)
・授業レジメ(本紙1枚)
○提示資料
・「建築コンバージョン事例集100」(根岸が編集協力)
・「店舗デザイン・ハンドブック2005」(根岸が分担執筆)
・「コンバージョン・リノベーションによる
 低稼働不動産の再生実務&事例集」(根岸が分担執筆)
○ビデオ上映
・とくダネ!情報 (H16('04)/04/26)
 「都市空洞化を救う!? コンバージョン・マンションの住み心地」     
   (上映時間:17分)(根岸の出演部分あり)
○オフィスをマンションにコンバージョン(用途変更)する

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「東京コンバージョンリサーチ」
    (URL) http://www.negishi-arch.co.jp/conversion/index.html
    (Email) negishi@negishi-arch.co.jp
・今、なぜコンバージョンか
・コンバージョン計画の進め方
・計画や事業の推進体制
・コンバージョン計画のモデル事例

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住まい展示の見学

第07回(H17/06/06)「環境デザイン・ゼミ」(講師)根岸俊雄
    :「ライフスタイル別住まいづくりの実物展示」を見学

■見学の概要

○見学場所
・「トステムショールーム東京
・半蔵門線住吉駅から徒歩8分程度
・1階ショウルームのロビーに3時半集合
・トステムの担当者
 :商品本部・トータルハウジング企画部・森谷真樹子さん

○見学内容
・「ライフスタイル別住まいづくりの実物展示」を見学
・見学は3時半~5時半(最後に社員の方の仕事体験談もあり)

■説明者:森谷さんから頂いた見学スケジュール案内

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■アンケート・他
○トステム・アンケートと見学レポート 

・トステムのアンケートにみんなしっかりと記入したので、
 そのコピーをもらい見学レポートに代える

○御礼
・「森谷さん、今日はたいへん有難うございました!!」

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故郷:電車

太郎よ、君と故郷の町に行く時はいつも電車でしたね。
羽生からJR熊谷そしてその先へと、秩父鉄道です。
途中の寄居ではJR八高線や東武鉄道が他の町と連絡しています。
そのあたりから山が線路に迫り、長瀞で荒川の鉄橋を渡ると私の町でした。


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故郷の皆野町には駅が二つありました。
どちらの駅も家から歩いて7~8分です。
私は親鼻の駅、古い小さな駅舎を好みました。


冬にはその駅から奥の町へと電車を乗り進みました。
あの有名な秩父夜祭がある町、困民党が攻め入った町。
そこは盆地が一番広がったところで、札所34ヶ所も点在しています。
また西武鉄道が盆地を池袋方面へと連絡しています。


幼い時の移動手段はすべてあの小さな電車でした。
ちょっとガタガタしながら私をいろんなところに運んでくれました。


電車によって私は多くの風景を見ました。
電車によって私は他の町を知りました。
電車によって私はいろんな人に出会いました。


残念ですが、小豆色の三両編成の私の電車は、今は元気がありません。
私は「ローカル鉄道活性化計画」を考えました。
いつか、街づくり入門のコーナーで、発表することにします。