元荒川の三連蔵
越谷市の元荒川沿いにあった古い三連蔵の物語です。
旧家に残っていたこの蔵を見つけたのは、地元NPOの人達です。
代表のMさんのメールは次のようでした。
「O家は最盛期には女中さんが100人いたといわれています。
農産物の売買だけでなく、材木問屋も兼ねていたとのことです。
深川から元荒川を使って船で材木を運び売っていたのです。」
「O氏は次のようにいっていました。壊れるのにまかしている。
積極的に壊すつもりはない。保存したいが個人では出来ない。
文化財にされたって年5万円なんだからどうしようもない。
せめて保存を条件に固定資産税を免除してくれたなら。」
それでは我が事務所が一肌脱ごうということになりました。
再生計画案をつくりそれで保存運動をしよう、ということです。
元荒川広場計画の構想図や模型をつくり上げました。
そろそろいろいろなところに働きかけよう、という時でした。
地元NPOのMさんから次のようなメールが届きました。
「O家の三連蔵と蔵つき住宅が取り壊されたことをご存知ですか。
もうきれいな更地になっており、かなり広い土地だったんだと改めて
思いました。根岸さんが作ってくださった模型がこの更地の上に
あったらどんなによかったことだろうと、しばし、たたずんで
しまいました。何もできなかったことを悔しく思いました。」
たぶんマンションが建設されるのでしょう。
実は私もその方向は予感してましたので、その時は三連蔵を
マンションの集会室として残したらどうかと思ってました。
間に合いませんでした。まことに残念です。
古い建物の保存は、所有者が自分で利用しようという場合でないと、
なかなか実現しないものです。
以上、元荒川三連蔵の悲しい物語でした。
人付き合いを楽しむ-1
最近の住まいづくりにおいては、どのように暮らすのか?
同様に暮らしたいのか? という問い掛けがよくなされます。
そんな住まいづくりのためのヒントを、これから事例中心に述べてみたいと思います。
まず最初は、「人付き合いを楽しむ」というテーマです。
■人とコミュニケーションする
○生き方優先の住まいづくり
私たちの生活においては、これからだんだんと在宅時間や余暇時間が長くなるという傾向があります。
そうしますと、住まいにおける趣味生活や人とのコミュニケーションが生き甲斐の中心となってきます。
そのような自分達のための住まいづくりにあっては、自分達の生き方を優先した特注品の住まいづくりを実行して欲しいいものです。
○住み慣れた家と街で
人は住み慣れた家と街で、家族や隣人と住み続けて行けることが一番の幸せです。
親族、友達、隣人、地域の人達との、日々の付き合いの生活です。
まず、隣人が訪れ易い玄関周り、また、庭先や縁側などにも工夫が欲しいですね。
大勢の人が集まれるLDKが確保できたらうれしいですね。
お客さんの泊まれる部屋も、あったらさらに楽しいですね。
■夫婦それぞれの人付き合い空間
○夫婦それぞれの居間
Sさんご夫婦の住まいづくりには、ある事情がありました。
ご主人が病後のため、日当たりの良い居間にベットを置き、日中はそこで過ごすのです。
そうしますと、奥さんの友達が来たときに招き入れる場所がありませんので、それでは奥さん専用の居間もつくりましょうということになりました。
○近所の人との付き合い空間
ご主人の居間の前には、お客さん用の濡れ縁を設けました。
ふらりと訪れる人はその濡れ縁に腰を掛け、お茶飲み話をしていきます。
奥さんの居間の前には、お客さん用の木製デッキを設けました。そこには鉢植えの花などが飾られ楽しい居場所となっています。
Sさんの住まいにあっては、このような二つの接客装置が何時もお客さんを待ち受けているのです。
ゼミ:「谷根千」活動を学ぶ
「環境デザインゼミ」ではいままで下記のような授業がありました。
第01回(H17/04/20):ガイダンス
第02回(H17/04/27):本「サツキとメイの家のつくり方」
第03回(H17/05/11):本「おばあちゃんちの楽しかった土間」
第04回(H17/05/18):環境デザインの実際「根岸事務所のHP」
第05回(H17/05/23):環境デザインの現場「根岸事務所見学」
今回からは講義日当日に授業内容を掲載します。
第06回(H17/06/01)「環境デザインゼミ」(講師)根岸俊雄
:街づくり・「谷根千」の活動を学ぶ
■勉強資料
○森まゆみ(著):「谷根千(やねせん)」の冒険、ちくま文庫
○「谷中・根津・千駄木」の現物「其の79」、コピー4種類
○「谷中根津千駄木」地区の自主的散策
■討論の仕方
○グループ分け:学生は次の「3つの立場」に分れる
・「谷根千」編集者の立場のグループ
・「谷根千」住人の立場のグループ
・「谷根千」の読者・訪問者(「谷根千」地域外)の立場のグループ
○グループ内討議
・他の2グループへの質問項目を、それぞれ4項目づつ考えること
・相手への質問担当者を質問項目毎に決めること
・また相手からの質問に答える順番は、質問順番と同じとする
○グループ間討議(グループ同士の質疑応答)
・相手グループに質問すること
・相手からの質問に答えること
■主なる質問内容
○「谷根千」編集者へ
・主婦の3人の活動の源は何なのか?
・子育て中の発刊ということはどうであったか?
・苦しいことは? 楽しいことは?
○「谷根千」住民へ
・「谷根千」が出たことで地域が変わったことは?
・「谷根千」にインタビューされてどう感じたか?
・「谷根千」読者の来訪についてどう思うか?
○「谷根千」の読者
・「谷根千」地区を訪れてみてイメージが合ってたか?
・「谷根千」を読まない人もいるがその理由が分かるか?
・自分の地域でも「谷根千」的雑誌を発行してみようと思うか?
環境計画:町家再生
「環境計画論」ではいままでに下記のような授業がありました。
第01回 [H17('05)/04/20]:環境を読み解いて計画する
第02回 [H17('05)/04/27]:街並みづくりにおける通りと建物の計画
第03回 [H17('05)/05/18]:秩父ふるさと村の計画
第04回 [H17('05)/05/25]:ショッピング・ストリートの計画
今回からは講義日当日に授業内容を掲載します。
第05回 [H17('05)/06/01]「環境計画論」:(講師)根岸俊雄
:住み継ぎによる町家再生「秩父町家倶楽部・他」
■町家再生の計画を学ぶ
○配付資料
・「秩父町家倶楽部」(A3で2枚)、・「松本教室」(A4で3枚)
・「満る岡(まるおか)」(A4で3枚)、・授業レジメ(A4で1枚)
○ビデオ上映
・秩父町家倶楽部(松本(教室・他)
・彩の国さいたま景観賞(満る岡)
○古い町家の延命策を学ぶ
(1)「秩父町家倶楽部」
・ホームページ
(URL)http://www.negishi-arch.co.jp/chichibu-m-club/
・秩父町家倶楽部へようこそ、・物件一覧、・入居申し込み方法、
・「貸し町家」物件募集、・秩父という町、・町家生活体験談、
・町家改装の手引き、・イベント、・はみ出し情報
(2)「松本教室」
・町家再生による「秩父の街並づくり」
・生涯学習施設「平成の寺子屋づくり」
・地域交流の場「土間サロンづくり」
(3)「満る岡(まるおか)」
・店の歴史を守る後継者
・古建築再生による「心の原風景」保存
・街並づくりへの参加
(画像をクリックすると作品ページへリンクします)
大妻ライフデザインとは
これから大妻女子大学での私の講義を掲載します。
家政学部・ライフデザイン学科における授業です。
ライフデザイン学科を紹介します。
「人間力」をアップする! それがライフデザイン学科のモットー
21世紀のいま、大きな変化の時代を迎えています。
そこで大切なのは「人間力」です。
どんな変化にも対応できる「知識と行動・組織力」を
しっかり学び、育てましょう。
<知識>として、生命、心理、家族、地域社会、法律、経済、歴史、
地球環境、国際関係など、行動力のもとになる教養のすそ野を広げます。
<行動力・組織力>として、生活を豊かにするデザイン、
ボランティアやNPOなどの社会活動、コミュニケーションの手法など、
体験を通して身につけます。
ライフデザイン学科で教員、先輩とともに「人間力」をアップし、
個性ある豊かな人生への道を拓きましょう。
ライフデザイン学科長 小出五郎
私の担当科目は次の通りです。
前期:環境計画論(3年生)
後期:住環境学(2年生)、情報公開手法論(3年生)
通年:環境デザインゼミ(3年生)
故郷:町
太郎よ、君は私の一人息子です。
これから私の建築人生を語ります。
君の大学での専攻は建築ではありませんが、
何にかの役に立てば嬉しいと思います。
君が生まれたのは台東区根岸です。
都会の真っ只中です。
私の故郷とはだいぶ違います。
何回も行ったことがあるから分かりますね。
埼玉の秩父谷、その入り口の皆野町が、私の生まれたところです。
人口は今でも変わらず1万人ちょっとです。
今住んでいる越谷市はなんと30万人です!
山と川とわずかな平地の町です。
夏は荒川で毎日泳ぎ、時々キャンプもしました。
秋は美の山を歩き廻り、途中で栗など拾いました。
冬は坂道のソリすべりで、しまいには冷たく濡れてしまいました。
春は道端で草摘みをしたり、小川に笹舟を流したりしました。
私は自然に囲まれて育った人間です。
環境を考える原点はここにあります。
いま住んでいる町には少々不満を感じています。
チャンとした山や川、身近な自然などが不足しているからです。
カフェ・ギャラリー完成
船橋市の郊外に、「ぎゃらりい 風趣(ふうしゅ)」が完成しました。
オープンは明日ですが、今日はその披露会に行って来ました。
次が、オーナー高橋幸子女史の開店挨拶文です。
ぎゃらりい 風趣は、ラ・ヴィータがテーマです。
ラ・ヴィータ(La Vida)とは、スペイン語で生活という意味です。
英語のライフ(Life)にあたる言葉です。
広い意味でのアートを通じて、小さな空間ではありますが、
生活に心豊かな彩を添える提案をしていきたいと考えています。
異なったジャンルの人々、年齢や国籍を問わず、多くの方が出逢い、
ゆったりとくつろげる場となれば幸いです。
ギャラリーは、庭石を室内に取り込んだユニークなデザインで、
坪庭も見渡せる自然光を取り入れた、明るい空間です。
オープニング企画は、「アジアの多彩 - 民族の染織展」です。
6月20日まで開催で、後半はインドの染織に入れ替わる予定です。
なお、この「ぎゃらりい 風趣」については、
日経新聞「住宅サーチ」の「予算別リフォーム before & after」において、
計画段階のシュミレーションがあります。
http://sumai.nikkei.co.jp/reform/yosan/index20050216r2000r2.html
「ぎゃらりい 風趣(ふうしゅ)」の場所等は以下の通りです。
・所在地:〒274-0816 千葉県船橋市芝山1-28-12
・連 絡:TEL:047-461-1592、FAX:047-461-1515
・営 業:11:00~18:00
・休業日:毎週火曜日(企画展中は除く)と第2・4水曜日
・行き方:東葉高速線(東西線直通)飯山満(はさま)駅 徒歩7分
東西線・大手町駅より東葉勝田台行きで約27分